ささやかに生きる

音声入力中心に、思ったことをつらつらと。

初めての感情

 こんにちは、ささやかに生きたいモニコです。26年間生きてきて、こんな感情は初めて、という気持ちになったのがついこの前。夫がワクチン接種の2回目を行って、副作用が出た時の話。高熱が出る場合があることは知っていたけど、夫がいざ38度超を出して寝込んだ時、心配すぎて、その心配を通り越して怒り、不機嫌になった。

 夫には、心配すぎて、なんでコロナなんてあるの、ここまでしてワクチンを打たなきゃいけないの、っていう社会への怒りなんだ、本当に心配なんだ、って言った。私も初めはそうだと思った。夫の高熱が心配で、その原因を作ったコロナ、そして本当に解決や予防につながるのか完全に信用しきれていないワクチンへの嫌悪感、そういうものが相まって怒り、に向かったんだ、と思っていた。納得していた。でも、よくよく考えてみたら、それだけじゃないよな、と。自分のことは自分が1番知っている、じゃないけど、それだけじゃないだろ、と。

 私は夫を失うのが怖い。夫のことが大切で、信頼して、一生を一緒に遂げたい人だから。夫を失いたくない。でもその失いたくないは、夫への愛だけじゃない。「取り残された私」になるのが嫌だから。「夫がいなくなった私は可哀想」だから、そんなふうになりたくない。夫がいないなんて、というよりも「私が1人なんて」絶対に嫌だ、と。夫よりの心配じゃなくて、私よりの心配だったんじゃないかと。実際そうだと思う。どこまでも、私は私が可愛いんだと、自分のことが大好きで、自分を守りたい気持ちが強いんだと。自分の安心した、充実した人生の上で夫が必要。だから、その夫に何かしらの危機が及んでいる、となると自分の防衛本能が働くというか、自分の中のセンサーが反応して、守らなくちゃ、自分の理想の人生を守らなくちゃ、それを阻止しようと阻んでいるものは何?とガルガルとした怒りの感情になる。ああ、そういうことか、と。

 私は彼のいない人生なんて嫌なんだ、だから高熱でうなされていたら彼のことが心配になる。でもそれ以上に、彼がいなくなった後の私のことが心配になる。だから、不安、怒り、つらさが襲ってくる。そういう深層心理だったと思う。ただ夫の心配だけしていたらいい妻、なのに。結局自分のことを守りたいと感情に振り回される妻はいい妻、とは言えないよね。絶対に言えない。私はどこまでも私なんだな、私が可愛いんだ、と何気にショックでした。こんな感情、知りたく無かった。ただのいい妻でいたかった。初めての感情。この感情わかる人いるのかな。善良な人は、こんな感情抱いたこともないと思う。

 コロナだから、ワクチンだから、副作用があるのはわかってた。わかってた上で、それでも高熱の彼を見るのが辛かった。防衛本能が働いたから。じゃあさ、ワクチンじゃ無かったら。本当に普通に(?)病気になってしまったら。それで苦しんでいるとしたら。体に異常があるとしたら。そういうことも考えた。もしそうなったら、私は平常心で、冷静でいられるだろうか。大切なひとを失う可能性があるかもしれない、このさき余命数ヶ月と宣言されるかもしれない、そうなったら私は1人で生きる道を選ばなくてはならないかもしれない。そう考えたら、もう、ダメでした。生きていけない、生きる価値がない、そんな人生手放したい。…いつからこんなに他人ありきの人生になったのだ。私は私なのに。あまりにも大切な人に出会ってしまったから、人と過ごす楽しさを味わってしまったから。それを手放す、失う、なんて怖いことなんだ。絶対に嫌だ。

 持病のある友達がいた。小さい頃から、生きていることが奇跡、だったらしい。その友人とはかなり仲良くしていたが、昨年末に亡くなった。我が子が病気、ずっと闘病、入院、退院を繰り返していて、最後には、残念な結果に。お母さんはどんな気持ちだった??耐えられないよね、辛すぎるよね、もうどうしていいかわからないし、自分もいっそそっちに行きたい、そう弱い気持ちになってしまうよね、そうなって当然だよね、と。深くは考えられなかったけど、少し想像しただけでもう、胸がいっぱいではち切れそうになった。辛すぎる。

 大切な人が苦しむことは、同時に自分も苦しくなる。失いたくないと思う、当然だよ、だってもう自分と同じくらい大切だから。そう思える相手に出会えたことは、私にとっての幸運なのかもしれない。でも、生きている限り、どこかの時点で、失う危機は訪れて、絶対に耐え難い、つらい思いもする。ああああ、人生ってつらすぎませんか。楽しいことも多いけどさ、死の怖さ、失う、手放す怖さ。それもある、と。乗り越えなくちゃいけない、と思うとちょっと憂鬱になったりもする。夫には先に死んでほしい、だって私が死んだ後に辛い思いをして欲しくないから、そう思ってた。でも、今回のことがあってから考えると、苦しみたくないから、私が先に死にたいよ…なんて。ああ、またまた自分勝手。

 この感情、まだまだ掘り下げられそうです。これで本でも書きたいです。私も2回目の副作用を受けたら、夫は何か思うところがあるのでしょうか。それもまた聞いてみたい。体調が戻った時、本当に嬉しかった、安心して過ごせた。もう夫を怒ったりしないようにしよう、大切にしよう。定期的にそういう案件が起きます。ささやかに生きたい。